教科書を理解できない子どもたち

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」 新井紀子著

話題の本です。

東大合格を目指して作られたAI、「東ロボくん」についてはニュースでご存知の方も多いと思います。

前半は「東ロボくん」を軸に、AIについて分かりやすく書かれています。

結論としては東大合格には至らず、プロジェクトは終了しました。

乗り越えられない壁があったのです。

「AIには”意味”が分からない」。

AIは数学で成り立つ計算機なのだそうです。

そして数学とは「論理・確率・統計」の学問であり、「意味」を記述する方法がないそうです。

「そうです」ばかりになってしまいますが、知らないことばかりなので、そうとしか書きようもありません。

そして意味を理解できない限り、一定水準以上の大学合格は難しいという結果でした。

しかし意味が分からないにも関わらず大学受験生の上位20%には入ったのです。

いわゆる有名私大には入学できるレベルでした。

ということは、その水準に達していない大半の受験生は、そもそも問題文の意味すら分かっていないのではないか。

後半には、その衝撃の事実が記載されています。

子どもたちはそもそも教科書に書かれている文章の理解が出来ていない!

恐ろしい程に理解できていないことが分かってしまったのです。

子どもたちどころか大人たちも!一部の新聞記者ですら!

そのことに気が付いてすらいない我々・・・・。

職場で説明しても分からない、資料渡しても理解しない、報告も出来ない、そんな声は実に多い。

自分だって、書類を読んでいてもよく分からないことが多いことを思い出して、ドキドキしました。

ちなみにどうすれば読解力をあげられるかは不明だそうです。

不明ではあるけれでも、危機感を覚えた教育関係者たちが、きちんと意識して対応した市では、生徒の学力が県内中程度からトップに躍り出たそうです、いきなり。

なんとなくですが、「人として誠実に丁寧に接する」あたりにヒントがあるように、個人的には思います。

巷で噂の、AIが人類を超えるシンギュラリティは来そうにもないとのことですが、人間そのものが抱える問題は大きいようです。

シンギュラリティは来ないけど、このままいくと、AIが人の仕事を奪い、失業者は増えるものの、AIが出来ない仕事をこなせる人は限られており、失業者と人手不足の企業が溢れ、社会は貧しくなる一方、と。

軽い気持ちで手に取った本ですが、ずっしり重かった。

ちなみに電子書籍版を購入したので、紙の書籍を手に取ってはいないし、重量的に重かったわけでもありませんが、意味するところはお分かり頂けるかと思います。

AIだったら「手に取った本が重かった」と話しかけたら、「ロボットアームのご使用をお勧めします」とかいうんでしょうかね。

この本には、著者の思いと、これからの行動が記載されております。

内容そのものだけではなく、著者の人間性が伝わってきたからこそ、ここまで心を揺さぶられたのだと思います。

是非ご一読下さい。